ジャーナル#10 AI時代のヘアメイク
目次
- ①AIができること——客観的な分析と利便性
- ②私たちが実感したAIの力
- ③AIができないこと——感情と文脈の理解
- ④私たちが大切にしていること
- ⑤AI時代に、私たちヘアメイクアーティストができること
こんにちは、コムニコスです。
「AI時代を生き抜くには、AIを使いこなさなければ」——そんな言葉を耳にすることが増えました。
技術は日々進化し、ヘアメイクの世界も例外ではありません。
AIが似合う色を提案し、写真や動画を修正してくれる時代になりました。
では、そんな時代に、私たちヘアメイクの専門家は何ができるのか。
そして、どんな価値を届けられるのか。
今回のジャーナルでは、AI時代におけるヘアメイクの在り方について、私たちなりの視点で考察していきたいと思います。
① AIができること——客観的な分析と利便性

AIは、データに基づいた客観的な分析を得意としています。
ヘアメイクにおいても、肌の色、顔の形、目の色、、、瞬時に読み取り、似合う色やメイク、ヘアスタイルを提案してくれます。
パーソナルカラー診断もおてのもの。
AIを使えば、誰でも簡単に「自分に似合うもの」を知ることができるようになりました。
バーチャルメイクを使えば、実際に化粧品を試さなくてもスタイルを比較することが可能で、家にいながら24時間シミュレーションが可能です。
膨大なデータからトレンドを分析し、今の時代に合ったスタイルを教えてくれます。
今や、すっぴんの写真にヘアメイクを施すアプリは日常となり、動画でも理想の顔を作り、整形しなくても“なりたい自分”を気軽に表現できる時代になりました。
AIは、圧倒的な効率化と利便性をもたらしてくれました。
② 私たちが実感したAIの力

ヘアメイクの専門家であるわたしたちは、どうしているかと申しますと、クライアント様への提案にAIを活用しています。
以前のヘアメイクの提案書では、デッサンや参考写真の収集、写真をカラーコピーして、手描きで修正するなど、多くの時間と労力が必要でした。
今では、モデルさんの写真をAIに読み込ませ、プロンプトでイメージを伝えるだけで精度の高い仕上がりが生成できます。
モデルの顔で具体的なヘアメイクを、クライアント様へ事前確認できることは、非常に大きな変化となりました。
イメージの共有は、格段にスムーズになり、クライアント様との認識のズレもほとんど減りました。
撮影当日の「思っていたのと違う!」というトラブルも大きく減少。
専門家にとっても、AIは頼れるパートナーです。
③ AIができないこと——感情と文脈の理解

一方で、AIには限界があります。
たとえ的確なメイクやカラーを生成できたとしても、その日の気分や「こう見られたい」という願望は、すぐに理解できません。
AIが扱えるのは顔のパーツや色の相性までであり、今日の気持ちまでは読み取れないのです。
また、「似合うと言われてもなんだかしっくりこない」という違和感の理由を深掘りすることもできません。
その裏にある、本人も気づいていない想い。
それを引き出せるのは、やはり対話を通じた“人”ならではの関わりです。
④ 私たちが大切にしていること

コムニコスは、ヘアメイクで自己肯定感を上げ、承認欲求を満たしてさしあげることをとても大切にしています。
鏡を見たときに「いいな」と思っていただけるような自分。
人前に出るときに「これなら大丈夫」と思える自分。
ヘアメイクでその人が内面から自信を持ち、前向きに過ごせるようにする。それが私たちの役割です。
対面での対話では、その日着ている洋服、何気ない会話から、その人がどうなりたいか、趣味嗜好を察知します。
顔の艶から今日の肌の調子を見て、髪の毛のつやからコンディションを確認する。
そうした細やかな観察を通じて、その日の気分や、どう見られたいか、どんな場面に向かうのか。一人ひとりの想いを丁寧にくみ取ります。
AIのデータ上でも、その人の感覚にフィットしない。
そんなときこそ、対話を重ねながら、その人の生き方や価値観に寄り添ったヘアメイクスタイルを一緒に見つけていきます。
私たちは「ヘアメイクを通して年齢・国境・性別と垣根のない世の中に!」をビジョンに掲げ、多様性を認めながらも組織としての統一感を保つ、「規律ある自由」というアプローチを追求してきました。
ジェンダーの枠にとらわれず、一人ひとりが自分らしく輝けるヘアメイクを提供しています。
データが示す「似合う」を超えて、その人が心地よく、自分らしく生きるためのヘアメイク。
それは、対話と感性があって初めて実現できるものだと、私たちは考えています。
さらに、国の調査でも、美容分野におけるAI活用は急速に広がっていることが確認されています。
経済産業省によると、大手化粧品メーカーを中心に、AI肌解析やパーソナライズ美容が導入されつつあり、特許庁のデータでもAIメイクシミュレーションや肌解析の特許出願が年々増加しています。
※リンク参照
私たちはこのAIの力を活用しつつ、人にしかできない「その人らしさ」に寄り添ったヘアメイクを提供しています。
⑤ AI時代に、私たちヘアメイクアーティストができること

AIは強力なパートナーであり、仕事の効率化や可能性拡張に貢献しています。
しかし同時に、感情、違和感の奥にある想い、生き方や価値観、自由な表現への願望――こうした領域に寄り添えるのは人だけです。
AIが“似合う”を教えてくれる時代だからこそ、ヘアメイクの専門家は“その人らしさ”を引き出すことに集中できます。
技術が進化しても、人と人との対話から生まれる美しさは変わらないし、その価値はむしろ際立っていくはずです。
AI時代に突入した今、コムニコスは技術を味方にしながら、一人ひとりが自分らしく、心地よく生きるためのヘアメイクを提供し続けます。
参考資料・出典
・経済産業省|化粧品産業のDX・AI活用
・総務省|情報通信白書(AI社会実装の動向)
・内閣府|AI戦略(AI Strategy)
・特許庁|AI美容技術の特許動向
