Daily Thoughts

journal

ジャーナル

ジャーナル#3 ホテル業界におけるカスタマーハラスメント対策とヘアメイク

目次

  • ①ホスピタリティを体現するヘアメイク
  • ②ホテルスタッフのヘアメイクとカスタマーハラスメント対策
  • ③ホテルとしての組織的カスタマーハラスメント対策

東京都では、公正かつ持続可能な社会の実現に寄与するため、「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を制定しました(令和7年4月1日施行)。この条例は、顧客等からの著しい迷惑行為から従業員を守り、安全で健全な営業環境を確保することを目的としています。接客業界全体で大きな課題となっているカスタマーハラスメントですが、特にホテル業界では、24時間営業体制や個室での対応など、リスクの高い状況が日常的に存在します。

そこで私たちコムニコスは、ラグジュアリーホテルのヘアメイク監修に携わっている長年の経験から、カスタマーハラスメント対策には、身だしなみのガイドラインの整備だけでなく、スタッフ一人一人の「見た目」を整えることも重要だと考えています。今回は、単なる美的な観点だけでなく、スッタフの心理的安全性を守る「鎧」としてのヘアメイクについて、その重要性をお伝えしたいと思います。

①ホスピタリティを体現するヘアメイク

ホテルの受付スタッフとお客様

日本が世界に誇るおもてなしの精神『ホスピタリティ』。その前線をゆくのがホテル業界で、中でもラグジュアリーホテルでは、ブランドや品位、伝統などからスタッフの身だしなみや、ヘアメイクは重要な役割を担い、ブランディングにつながると考えています。ヘアメイクは、お客様への最高級のおもてなしの姿勢を表現します。完璧に整えられた身だしなみは、時に鎧となり、お客様からの過度な要求や言動を未然に防ぎ、極上のサービスへの信頼を構築します。毎日のグルーミングへの丁寧な取り組みは、ホテルの品質の格上げにつながり、ゲストとの初めての出会いから、プロフェッショナルな印象を与えることが可能です。

接客の最前線に立つホテルスタッフは、ホテルのブランディングや場面に適したヘアメイクを施すことで、プロフェッショナルな距離感を保ちながらサービスを提供することができます。特に、ベルマンやチェックインやチェックアウトなどの重要な接客シーンでは、清潔感のある身だしなみが、円滑なコミュニケーションに影響を及ぼし、潜在的なトラブルを防ぐ効果があるのではないでしょうか。

②ホテルスタッフのヘアメイクとカスタマーハラスメント対策

カスタマーハラスメント

深夜のフロント対応や客室清掃など、一対一での接客が必要な場面でも、適切なヘアメイクはスタッフを守る心理的なバリアとして機能します。完璧な外見は、不適切な接近や要求に対する抑止力となり、スタッフの安全を確保します。特に、夜間勤務やルームサービスなど、リスクの高い業務においては、整えられた身だしなみがスタッフを守る重要な要素となります。

長時間のシフトワークにおいても、整えられた外見を保つことで、一貫した品質のサービスを提供し続けることができます。これは、スタッフ自身のプロ意識を高め、困難な状況での対応力を向上する効果があります。

適切なヘアメイクは自己肯定感を高め、精神的な強さを支える役割も果たします。これにより、カスタマーハラスメントに遭遇した際も、冷静な判断と適切な対応が可能となります。

③ホテルとしての組織的カスタマーハラスメント対策

働くホテルスタッフ

ユニフォームとヘアメイクの基準であるガイドラインを明確化し、全ホテルスタッフが遵守することで、チームとしての一体感を生み出し、上司、同僚からのサポート体制を強化するだけでなく、組織的な防衛ラインとしても機能し、個々のスタッフを守る重要な基準となります。

定期的なヘアメイク研修を実施し、ヘアメイクの技術向上やトレンドのアップデートとともに、カスたまーハラスメント対策の意識も高めていきます。また、身だしなみチェックを通じて、日々の意識向上を図ります。これらの取り組みは、単なる外見を整える以上に、スタッフのプロ意識を高める教育の機会となります。

ホテルのブランディングに応じた身だしなみガイドラインを設け、完璧な身だしなみという鎧をつけることで、よりカスタマーハラスメント対策を実現することができます。

ラグジュアリーホテルとして、最高級のサービスを提供しながらも、スタッフの安全と尊厳を守ることは最重要課題です。適切なヘアメイクは、その両立を可能にする重要な要素となります。ホテルスタッフ一人一人が、自身の身だしなみの持つ意味を理解し、会得していくことで、より安全で質の高いホテルサービスを実現できるのです。

この取り組みは、結果として保てるスタッフの働きがいを向上し、ホテル全体のサービス品質向上にもつながる好循環を生み出します。また、プロフェッショナルとしての適切なヘアメイクは、カスタマーハラスメントからスタッフを守る重要な防衛ラインとなります。身だしなみを整えることは、単なる見た目の問題ではなく、従業員の安全を確保するための具体的な施策の一つとして機能するのです。

今後も、カスタマーハラスメント対策の一環として、ヘアメイクの重要性を認識し、より強固なスタッフ保護の体制を築いていく必要があるのではないでしょうか。